「読売新聞で「まっくらカフェ」紹介されました!」
お知らせ 2009年11月25日(水)12:31
讀賣新聞さんでまっくらカフェについて電話取材を受け、下記のように紹介されました!ありがとうございます。同じような取り組みが増えているのですね。konddoji
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20091121-OYT1T00789.htm
食べる・歩く「暗闇体験」見えてくるものは?
(読売新聞 - 11月21日 18:58)
記者も挑戦。料理を食べる前に触って確かめる=杉本昌大撮影
目隠しして食事をしたり、真っ暗な道を歩いたり。「暗闇」を体験する企画が静かな人気だ。視覚を閉ざすと、何が見えてくるのだろう。
東京・品川の商店街の会議室に14日、アイマスク姿の10人ほどの男女がテーブルを挟んで向き合った。照明を消し、窓にカーテンを引いて光を感じることすらできない。この環境で、ご飯を食べるのだ。
仏教を広める若手住職らのグループ「彼岸寺」が企画した、その名も「暗闇ごはん」。コトッと食器が置かれた音がすると、みんな一斉に手を伸ばす。皿か。おわんか。確認した参加者は、中の食べ物を指で突っつく。そこに「しょうゆを用意しました。お刺し身に使って下さい」とお坊さん。口にした人は「んっ、魚じゃない。コンニャクの刺し身?」と首をかしげた。
◆人間の感覚を取り戻す◆
食べ終えた江戸川区の保育士福田幸江さん(33)は「指先や舌の感覚が鋭くなり、丁寧にご飯を味わえた」と満足そう。保育園では小さな子供たちに付きっきりで、昼食は大急ぎ。夜も外食やコンビニの総菜が多い。「普段は忘れている人間としての感覚を取り戻せるのがうれしい」
記者もトライしてみたが、視界を閉ざされると、まず、触って確認したくなる。舌でころがし、ゆっくりかみ、次のお皿が運ばれてくる気配がすると、どんなにおいか追っていた。これが人間本来の感覚なのか。
「彼岸寺」メンバーの青江覚峰(かくほう)さん(32)は「食べ物に感謝し、自分自身や他人との対話を楽しみ、多忙な日常を見つめ直すきっかけにしてほしい」と語る。2008年から月1回ペースで始め、既に延べ約500人が参加。リピーターもいるという。
こうした企画はほかにもあり、滋賀県彦根市のNPO法人「五環生活」(近藤隆二郎代表)は2か月に1回、目隠しで野菜を味わう食事会を開催。東京・港区のホテルでは12月、アイマスクでコース料理を楽しむイベントが開かれる。
◆すり足で恐る恐る◆
渋谷区ではNPO法人の主催で、真っ暗な中をグループで歩く「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」(暗闇での対話)が3月から開かれている。ドイツで20年前、視覚障害者への理解を深めるため始まった企画だ。
場所はビルの地下。視覚障害を持つ案内人の「つえで足元を確認しましょう」という声を頼りに、すり足で恐る恐る進む。砂利や落ち葉を踏みしめる感触。木や草や土のにおい。進むにつれ、周囲の環境が変わるのが分かってきた。参加者同士が「木があるから気を付けて」「すみません、足を踏みました」と声を掛け合う。初対面なのになぜか親しみがわいた。
◆企業や学校の研修にも◆
NPO法人の金井真介代表(47)は「言葉しか頼れないから、肩書や見た目に縛られず、自然体で人と向き合えるんです」と説明してくれた。研修に使う企業や学校もあり、都内のIT会社経営、草野隆史さん(37)は「パソコンに向かう職場なので、社員のコミュニケーション強化を図りたかった」と話した。
どこへ行っても夜、街灯が明々とともる現代。暗闇体験が人気の理由について、五感に関する著書を多く手がけるノンフィクション作家、山下柚実さん(47)は「生きているという現実感が希薄な人が多いためでは。パソコンやテレビなど目から得る情報があまりに多く、触覚や味覚などをもっと使いたいという渇望があるのでしょう」と分析する。
思えば、人や物について、名刺の肩書、ぱっと見、インターネットの情報で何でも分かったつもりでいた。暗闇が教えてくれる感覚を大切にすることにしよう。(薩川碧)